樹木医師が教える、必ず役に立つアリの予防と対策
はじめに
アリと言えば何をイメージします。
多くの人がアリは働き者、甘い物が大好きで、角砂糖に群がっている。
そのようにイメージする人が多いでしょう。
実際は少し違うようです。
【アリはどの様に生活している？】
アリの種類によって違いはありますが、基本一つの巣に集団で生活
しています。数百万匹にも及ぶ巣もあるようです。
集団には役割があり、卵を産みつ続ける。『女王アリ』基本女王ア
リは一匹、寿命は長く10～20年。女王アリと卵の世話をする『働き
アリ』働きアリは全てメス、寿命は1～2年。力持ちの『兵隊アリ』
この兵隊アリもメス寿命は1～2年。子孫を残すための『オスアリ』
役目を終えると死んでしまう。集団は社会性を持った完全変態昆虫
でハチの仲間です。
植木屋の知恵袋
一つの集団で働き者のアリは約２０％。約６０％のアリは一般的で
約２０％のアリは怠け物であると言われています。
シロアリは不完全変態昆虫でゴキブリの仲間です。
【アリは何を食べるのか？】
アリには雑食性のアリと吸密性のアリがいます。
『雑食性のアリ』
ミミズ、虫の死骸、甘い物、人間の食べかすなどその名の通り何でも
食べます。民家周辺に多く、エサを持って運ぶ。
『吸密性のアリ』
砂糖、植物の密を大好きです。庭や緑の多い場所に多い。
エサを持って運ぶ事は少なく(体内組織にためて巣に持ち帰る)
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雑食性のアリが約９０％で吸密性の甘い物を好んで食べるアリは約
１０％と雑食性のアリが多い。
木、植物にアリが集まるのを見ますが木や植物に付いたアブラムシ
やカイガラムシが分泌する甘露がアリのエサとなるためです。
【アリは何故、行列で行進するのか？】
アリの巣が壊れたり、巣の近くにエサが無くなると、引っ越しをしま
す。アリはフェロモンを出して仲間を呼んだり、危険を知らしたりと
情報交換をします。フェロモンで巣までの道しるべや、エサのある所
を仲間に教えたりします。そのフェロモンを辿って行列で行進します。
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アリは巣の外に出て活動しているアリは、集団の約３％で、残りの約
９７％のアリは巣の中にいると言われています。
【アリはどの様な場所に巣を作る？】
土の無い場所、落ち葉の下、壁の隙間、亀裂に巣を作るアリもいます。
屋外の植木鉢、ブロック、マットなどの下に巣を作ります。エサが確保
出来る場所に巣を作ります。
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トラックに飲みかけのコーヒーを置いていたところ、アリがコーヒーに
群がって居ました。車の中にも巣を作るようです。
【日本に生息する危険なアリ】
『イエヒメアリ』
アフリカ原産のアリで少し前まで北海道にはいないと、されていました
が各地に分布しています。体長2～2,5ｍｍ程、淡い黄色で腹部は薄黒い。
女王アリが複数いて繁殖力が強く、雑食性のアリで何でも食べます。寒さ
に弱いので、家の壁の隙間や薄暗い場所に巣を作り、台所の食品に群がり
ます。まれに人を噛んだり、刺したりする事もあり、皮膚の弱い人は腫れ
る可能性もあり、注意が必要です。
『アルゼンチンアリ』
南アフリカが原産とされている。体長2～2,5ｍｍ程、体色は黒褐色、で
日本では現在１１都府県で生存が確認されています。女王アリが複数い
て、繁殖力が強く、雑食性のアリで何でも食べますが甘い物も好物とし
ています。在来種のアリの様な巣を作らず、植木鉢の下家の壁の隙間、
コンクリートの隙間や割れ目など、ごく普通の家周りのありとあらゆる
物に巣を作ります。毒針は持たないですが、非常に攻撃的で盛んに人を
噛んだり、刺したりする事もあり、皮膚の弱い人は腫れる可能性もあり
、注意が必要です。在来のアリを駆逐してしまうため、日本の生態系に
悪影響を及ぼします。特定外来生物に指定さています。
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日本では2017年に入ってから、６都府県で発見された『ヒアリ』
巣を作り繁殖した可能性があります。『殺人アリ』と呼ばれる。
毒と強力針を持つアリ。
【アリの予防と対策】
アリ専用殺虫剤を直接アリの行列にかける。ノズルを使って巣穴にスプレー
をして、巣ごと駆除する。ゆっくりと効く薬剤などをアリにかけ薬剤の付いた
アリが巣に戻り、体を舐めあう(グルーミング)習性を利用して巣ごと全滅すさ
せる。また、エサを巣に運ぶ習性を利用して毒の入ったエサ巣に持ち帰らせて
全滅させる。地面に直接、物を置かない、ブロックやコンクリートの隙間をふ
さぐ、家の周りや家の中にもエサとなる物を置かない、生ごみも片付ける。
見つけたらすぐに殺す事も、アリの屋内への侵入を防ぐポイントです。
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アルゼンチンの繁殖力が強力で巣も大きく一度、巣を作られたら根絶は容易
ではなく、専門家でも難しいとされています。
まとめ
近年外来生物のアリが、日本での生存が確認されています。危険なアリの
の存在が身近になってきました。
私が少年の頃のアリのイメージと、かなり変わってきています。
被害が出てきてからではなく、早期の対策、予防、駆除が大事だと思います。
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