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樹木医師の植物で錬金術?

はじめに

植物の防御システムには驚かされます。アルカノイドの毒をもつもの、アレロパシーを持つもの、棘を持つもの、昆虫を捕食するもの、動物や昆虫に食べられないように、また子孫を残すために、進化したと思われます。

地球が誕生して46億年。その8億年後頃に、初めて生命(藻類)が誕生したとされています。植物の数がおよそ27万7000種とされていますが、植物は植物間でも長い間、生き残りをかけた戦いをしてきたとおもわれます。そして色々な形に進化をとげてきたのでしょう。

植物細部の中に液胞という構造がありますが、その液胞に金属を溜め込む植物がいていることが発見されています。驚く事にその金属は金やレアメタルも含まれるといいます。金属を吸収する植物、磁石で引っ付くのでしょうか?

 

【液胞】

液胞は、生物の細胞中にありる構造のひとつです。液胞の機能には、細胞に有害な物質や脅威となる物質、不要物(老廃物)などを隔離、保管して、たまった不要物を細胞から排出します。

植物は土壌中に含まれる栄養分を根などから吸収するときに、栄養以外の不要物質もとりこみます。その物質を液胞に一時的に保管して、落葉や古葉という形で有害物質(毒)や不要物(老廃物)を排出します。

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これが植物の排泄物(ウンチ)と言われています。

 

【金属集積植物】

オシダ科のヘビノネコザは別名、金山草といわれ、金属鉱床を探す指標植物として古くから経験的に知られていました。ヘビノネコザは北海道から九州まで日本各地に分布しているシダ植物です。

ヘビノネコザは、休廃止鉱山や鉱山跡地に自生しています。自生地の土壌中には鉛やカドミウムなどの重金属が多く含まれています。生物にはとては有害な物質で、もちろん植物にとっても有害です。ヘビノネコザは鉛やカドミウムなど非常に毒性の高い重金属を、高い濃度で集積することがわかっています。重金属が多く含まれる土地では、植物の成長は大きく妨げられるか、もしくは生息することすらできません。ヘビノネコザは、他の植物が生えることすらでできない環境で、重金属に対して耐性を獲得し、植物間での生き残りに勝利したといえます。

このように重金属を体内に取り込む性質がある植物を、「ハイパー・アキュミレーター」といいます。このハイパーアキュミレーターを利用した資源回収(ファイトマイニング)や環境浄化(ファイトレメディエーション)の研究が世界各国で進められています。

 

金属集積植物は重金属の蓄積により外敵からの食害の防御。競争相手がいない環境で

子孫を残すために、このように進化したと考えられます。

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ハイパーアキュミレーターはこれまでに国内外の研究で約400種が発見されています。昔から、アジサイ葉には毒があるとされていますが、花、茎、葉にアルミニウムが含まれており、またアジサイの花の色が変わるのも、このため込んだアルミニウムが影響するといわれています。

昔、田んぼ育てた稲にカドミウムが含まれていて、知らず知らず、お米を食べて体内に蓄積された毒は、やがて体に大きな影響を及ぼしました。イタイイタイ病です。イネ科にも金属集積植物があるということです。

 

【重金属植物の利用】

・植物のコシアブラを利用して、低コストで環境にやさしいくマンガンレアメタル

 を採取する。

・植物を利用して、土壌、汚泥、底泥。地下水等の汚染物質を吸収、分解させる。

ヒョウタンゴケにある。、金や鉛を取り込む性質を使った重金属排水処理システム。

・ニッケルなどの金属資源を植物を利用して、採取する。

・植物を遺伝子組み換えによって集積力等を高め、効率的、効果的に土壌浄化をおこな

 う。などの研究が世界各国で実用にむけて研究されています。

 

まとめ

ファイトマイニングは金属採掘ビジネスに高い収益をもたらすと可能性があるといいます。ファイトレメディエーションは汚染された土壌の浄化に期待されています。

いずれにしても植物を利用して、お金もうけ、人間のしりぬぐいを植物に頼ることになりますね。人間は他の生物を利用するために進化したのでしょうね。