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樹木医師の遺伝子組み換え農作物(食品)

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はじめに

野菜やお米など、分離育種法と交雑育種法で私たちの先祖は新しい品種をつくり、作物は品種改良されてきました。時代は変わり遺伝子組み換えの野菜が日本でも食べられるようになりました。今回は良い、悪いは別にして遺伝子組み換え作物の現状をまとめてみました。

遺伝子組み換え農作物の現状について 農林水産省

遺伝子組み換え食品の安全性について 厚生労働省

遺伝子組み換え食品表示義務 消費者庁

参考文献にしました。

 

【分離育種法】

長い間、作物を育てていると、突然変異で異なる作物ができることがごくまれにあります。その突然変異は作物の形や味などに現れたり、ときには寒さに強いものや、病気に強いものなどさまざまです。この突然変異は、良いほうにはたらく事もあれば、もちろん悪いほうにはたらく事もあります。育てている集団の中に出現した優良な形質をもつ個体を選び、それを親として次世代を栽培するというやりかたを、分離育種法といいます。とても気の遠くなる自然任せの方法ですが、先人たちはこれをくり返してきました。

【交雑育種法】

分離育種法は自然の力で長い時間と手間をかけて、新品種を生み出すやりかたです。交雑育種法は人工的に変異を出す方法です。育てている集団の中に出現した優良な形質をもつ2個体を選び、この2つの品種をかけあわせます。その子供たちの中から、優良な形質をもつ個体を選び、それを親として次世代を栽培します。これをくり返し行います。この方法も成功率は低く、1つの品種ができるまでには数多くのかけあわせの失敗があり、1つの品種ができるまでには何十年もかかることがあります。

 

【バイオテクノロジー

生物の組織や細胞、遺伝子を用いて、優良な形質を持つ生命体をつくること。遺伝子組み換え、細胞融合などの技術を利用して品種改良を行い、医療品、食糧などの生産などに応用する技術です。すでに開発され商品化されいるものが、除草剤に対する耐性、害虫に対する抵抗性、日もち向上させた作物などです。

 

『除草剤の影響を受けない農作物』

特定の除草剤の影響を受けなくするタンパク質をつくる遺伝子が組み込まれていて、特定の除草剤をまいても枯れません。

『害虫抵抗性農作物』

特定の害虫だけを殺すタンパク質を作る遺伝子を取り出して、これを農作物に取り入れたものです。特定の害虫はこの農作物を食べると死にます。

『日もちを向上した農作物』

遺伝子組み換え技術によって日持ちがよくなるように改良された農作物です。トマトなど

 

【遺伝子組み換えに作物(食品)】

2013年3月現在、日本で安全が確認され、販売、流通が認められているのは、食品8作物(169品種)、添加物7種類(15品種)です。

『作物』

・大豆:特定の除草剤で枯れない、特定の成分(オレイン酸)を多く含む

・じゃがいも:害虫に強い、ウィルス病に強い

・なたね:特定の除草剤で枯れない

・とうもろこし:害虫に強い、特定の除草剤で枯れない

・わた:害虫に強い、特定の除草剤で枯れない

・てんさい(砂糖大根):特定の除草剤で枯れない

アルファルファ:特定の除草剤で枯れない

・パパイヤ:ウィルス病に強い

・キモシン:天然添加物の代替

『添加物』

・αーアメラーゼ:生産性の向上

・リパーゼ:生産性の向上

・プルラナーゼ:生産性の向上

リボフラビン:生産性の向上

・グルコアミラーゼ:生産性の向上

・αーグルコシルトランスフェラーゼ:生産性の向上

※添加物は、遺伝子組み換え微生物により作られます。

 

【日本で使用されている作物の用途】

『とうもろこし』

飼料用、スターチ用(製紙、ダンボール、異変化液糖、水飴など)、グリッツ用(フレーク、菓子など)、その他

『大豆』

製油用(大豆油、食品原料、飼料)、食品用(豆腐、油揚、納豆、みそ、しょう油、その他)、その他

『なたね』

製油用(なたね油)

『わた』

製油(綿実油)

『パパイヤ』

食品用

 

これまでは害虫や農薬に強いものなどが中心でしたが、最近では、次のような作物が(食品)が研究、開発されています。「特定の成分の含有量を高めた作物」・「乾燥・塩害に強い作物」など環境浄化、工業、医薬利用など

 

【作物はどこで作られている】

2011年は、世界29カ国で1億6.000万ヘクタール作られています。日本の耕地面積の20倍以上となります。1位米国、2位ブラジル、3位アルゼンチン、4位インド、5位カナダ。現在のところ、日本では遺伝子組み換え作物は商業的には栽培されていません。

2011年、日本の輸入量(単位:千トン)

とうもろこし:14.892 だいず:2.727 なたね:2.408 わた:116 など

 

【遺伝子組み換え食品の表示義務】

遺伝子組み換え食品は、厳正な化学的評価により安全性について問題がないとされたもののみ、食品衛生の規定に基づき、食品としての流通が認められている。

『日本の表示制度』

遺伝子組み換え食品の表示方法

①遺伝子組み換え農産物を区別して使っている場合(※)⇒義務「大豆(遺伝子組み換え)」など

②遺伝子組み換え農産物と非遺伝子組み換え農作物を区別しない(不分別)で使っている場合⇒義務「大豆(遺伝子組み換え不分別)」など

③遺伝子組み換えでない農産物を区別して使っている場合(※)⇒任意「大豆(遺伝子組み換えでない)」「大豆(遺伝子組み換えでないものを分別)」など

④加工後に組み換えられたDNAとうが検出できない加工食品(大豆油、コーン油、しょうゆ、異性化液糖等)(※)⇒任意「大豆(遺伝子組み換えでない)」など

⑤組成、栄養価等が従来のものと著しく異なるものを原料とした加工食品(※)⇒義務「大豆(高オレイン酸遺伝子組み換え)」「とうもろこし(高リシン遺伝子組み換え)」など

※分別生産流通管理が適切に行われている場合には、5%以下の意図せざる混入を認める。

 

まとめ

遺伝子組み換え作物や食品は自然の摂理に反しているか、いないかは別として、知らず知らずのうちに口にしているのでしょう。