樹木医師の実は恐ろしい、小さな巨人アカダニ!!
コンクリートの上に赤い点がみえるのがアカダニです。体長0.5mmほどの小さな害虫で、繁殖力が強く、クモの仲間で足が8本あり、高温乾燥の環境を好みます。都会生活をしている人は、ダニといえば動物の血を吸う虫と思う人が多いでしょう。農村ではアカダニを知らない農家はいてないでしょう。
植物の汁を吸うハダニ「アカダニ」は菜食主義者で、動物の血を吸ったりはしません。農家ではこのアカダに頭を痛めています。たくさんのマダニが大きな牛馬をたおすように、微小なハダニもよってたかって、果樹の大木を衰弱させます。
以前から日本にもハダニはいたはずですが、 近年、ハダニの被害が目立ちはじめました。
植物を栄養源としている有害昆虫とハダニがいて、この両者を食べる捕食者(天敵)がいて、バランスを保っている自然界。
そこへ殺虫剤を撒くと、ハダニの天敵、テントウムシ、アザミウマ、ハナカメムシ、など多くの益虫が死んでしまいます。もともと昆虫を殺すために作り出された殺虫剤は、昆虫とは異なった生理機構をもったダニ類には効きめが弱いこともありあす。また、ハダニは同じ殺虫剤に抵抗性がつきやすいといわれます。
かりに、薬が同じように効いたとしても、ハダニは繁殖力が強く繁殖のスピードは天敵虫(益虫)の比べものにならないぐらいはやく、たちまちにして、もとの密度に回復てしまいます。一方で天敵虫(益虫)は一度打撃を受けると、なかなか勢力が戻りません。
「樹医研修用補充プリント」を引用
【発生時期】
越冬卵は4月にふ化し、その後11月まで不規則な発生をくり返します。
【被害】
被害は4月頃からはじまり、6月頃にはかなりの密度になります。梅雨時期は一時的に発生が抑えられますが、梅雨明けと同時に急激に増殖して被害もふえます。
葉や花に口針をさして吸汁加害します。加害部は白く色が抜け落ちます。屋内では多発すると色が退色し、葉緑素が抜けて光合成ができなくなり、植物は枯れることもあります。
「アカダニ」と呼ばれるカンザワハダニとナミハダニが植物への被害が最も被害が深刻です。これらの被害を受けると、生育が阻害され、葉は褐変して、花は小さくなり、雨の当たらない屋内では、葉が枯れることもあります。成虫は1日に数個ずつ産卵するため、長期間にわったて被害が出ます。庭木ではスギの重要害虫です。
【対処法・予防法】
見つけたら、テープなどに貼り付けて除去します。水弱い習性があります、水まきをすると植物から落下します。ダニの被害にあいやすい植物は、雨のあたる場所で管理、栽培するのも方法です。
薬剤の使用は、5~6月頃に、葉色の退色に気づいたら、ただちに防除作業にかかるようにします。
薬剤は発生初期であれば、テディオン乳剤の500~1000倍液かニッソランV乳剤2000~3000倍液が効果があります。また、すでに発生が進んでいる場合は、ケルセン乳剤1500倍液とかオサダン水和剤25倍液などを散布します。
多発時には7~10日ごとに数回散布を必要としますが、ただし、これら殺ダニ剤は同一薬剤の連用だけは絶対にしないように注意します。
※ハダニ(アカダニ)類は抵抗力がつきやすく同じ薬の連用は、効力がぐんと落ちます。
「樹木別でわかる病害虫全科/藤原二男 著者」を引用いました。