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樹木医師の食虫植物の謎

はじめに

植物の防御システムは驚かされます。アルカノイドの毒をもつもの、アレロパシーを持つもの、棘を持つもの、動物や昆虫に食べられないようにするために、進化したと思われますが、小動物を食べる植物には驚かされます。植物にはさすがに脳みそはないですが、葉を手のように使うのですから驚きです。なぜ小動物を食べるように進化したのでしょうか。

 

【食虫植物の捕獲の仕方】

・とりもち型:葉の表面に生えている腺毛の粘液で昆虫を捕獲、消化液を分泌して吸収

       します。食虫植物の中でもっとも数が多い捕獲の仕方です。モウセンゴ

       ケ・ムシトリスミレなど

・わな型:二枚貝のような葉に感覚毛があり、この毛に触れると葉が閉じて、虫を挟み

     込みます。2回以上触れると閉じる仕組みになっています。誤作動を防ぐた

     めと思われます。ハエトリソウ・ムジナモなど

・落とし穴型:葉が袋状になっていて、内部に消化液が溜まっており、そこに1度入る

      と脱出するのが難しく、虫はゆっくりと時間をかけて消化され、吸収され

      ます。ウツボカズラ・サラセニアなど

・吸い込み型:捕虫用袋の入り口に生えている感覚毛に触れると弁が内側に開き、虫を

       吸い込み、弁を閉じて出られなくします。タヌキモなど

 

【食虫植物の概要】

虫を捕らえる植物は多くいますが、食虫植物は昆虫などを葉で誘引、捕獲、消化して吸収します。非食虫植物は昆虫などを誘引、捕獲、共生している「バクテリア」よって分解された養分を吸収します。食虫植物は消化機能がありますが、非食虫植物には消化機能がありません。

世界中に分布する食虫植物ですが、自生地の多くは貧栄養な土地で、栄養素が不足しがちな土地に生息しています。他の植物が生えていないような場所で生息しています。

このような貧栄養な土地では、植物は光合成をおこなうことがむずかしいですが、食虫植物は自ら光合成をおこなって栄養を得ています。

食虫植物が自生する土地では、土壌中のチッソ、リン、ミネラルなどの栄養素がすくなく、土に足りない栄養分を、昆虫などからタンパク質を得ることで、植物に必要な成分(チッソ)を得て、光合成量、クロロフィル合成量を増やしています。

食虫植物は、他の植物と戦うことなく生きていけるように進化したと考えられます。足りない栄養を昆虫から得るために、葉が極端に進化して、植物にとって大切な根は貧弱になり、栄養分を葉から吸収し、水を根から吸収するように進化したと思われます。

葉を動かして捕まえる運動エネルギーを考えると、マイナスに進化したうように思いますが、結果、競争相手がいない場所で、子孫を残し生育しているのだから、正解なのでしょう。

 

まとめ

気になるのは食虫植物のウンチです。消化液やバクテリアにより分解された物質は葉から吸収して栄養としますが、外骨格の物質は分解でできず、残骸は残ります。それがウンチなのでしょうか?