植木のお医者さんに教えてもらう

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樹木医師の紅葉は秋だけではないいんです、春にも紅葉はします!

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😊春に新緑は地下に貯えられていた養分が早春になって気温の上昇に促され、樹液が上昇することによって新芽が開きます。

 

😊新緑とはいっても一色ではなく、淡緑、中緑、深緑、草色、萌黄(もえぎ)色、オリーブ色、松葉色、淡紅色というように、緑色系のほかに紅色や褐色の色素も含まれます。

 

😊新緑時に葉が淡紅に変るものには種々のカエデ類をはじめ、カナメモチ、リンショウバイ、ヤマザクラナンテンドウダンツツジなどが知られています。淡褐色になるのは、シイ、カシ、クヌギ、クスなどに見られます。

 

🙍イロハモミジも新しい葉は赤いですね。

 

😁詳しく説明します。

 

😁秋に紅葉する樹種はかなり多いです。日本のように南北に長く、山岳の多い地帯では気温の変化によって美しい紅葉が見られます。気温の急激な変化のあった年は美しい紅葉は見られず、落葉もスムーズにいかなくなります。

 

😁秋の初めから順調に気温が下降した年には、モミジの彩りがあざやかに現れますが、寒暖ならぬうちに突然寒冷ににおそわれた年は葉の離層ができ上がっていないため、葉は枝に付いたまま冷害を受け、褐変して紅葉をするチャンスを失ってしまいます。こうした悪い環境下でも木と木の間、大木の木陰などで生えている落葉樹は直接寒冷にさらされないために美しく紅葉をすることがおおいです。

 

 😁落葉性の樹木の花柄には秋になると離層というコルク質の組織ができて糖分などが葉から茎へ移動するのをさまたげる作用をします。葉の柵状組織には多くの葉緑体という緑の小粒がつまっており、葉が紅葉しはじめると、細胞内の葉緑体は緑が失せて黄味を増し、紅葉という生理現象が起ってきます。

 

😁日光に紫外線が多く、温度が下降すると葉緑体につくきものの光合成反応が鈍くなり、代わって細胞液はしだいに赤味を増してきます。この赤い組織はアントシアン系のクリサンテミンです。

 

😁イチョウのように秋に黄変や褐変するものは、キサントフィルなどを含むカルチノイドによるものです。この黄色い色素も初めは葉緑体の中に葉緑素と一緒に含まれ、春や夏に葉緑素(クロロフィル)とカルチノイドの比が8:1ぐらいなので緑色に見えますが、秋に入ってクロロフィルの合成が鈍くなり、分解が始まるにつれて今度はカロチノイドの黄色が表面に出て黄色化します。

 

😁カロチノイドも元は糖分でですが、それが分解され、呼吸系に入ってゆくまでの段階で酢酸分子ができ、酸化や還元をくりかえして最後にカロチノイド色素が形成されます。ニレやイタヤカエデも同じです。

 

😁秋になると葉が褐色に変わるブナやケヤキなどの場合はアントシアン色素の代わりに多量のタンニン系の物質がでてくるからです。褐色する場合も初期には黄色のカロチノイドもかなり残っているため、同じ褐葉でも一色ではなく、いろいろの段階が見られます。この場合のタンニン系物質というのは本来は無色のカテコール類やクロロゲン酸などフェノール物質が葉の老化に伴って酸化重合したもので、化学的にはアントシアンとごく近縁の物質であり、ブドウ糖や蔗糖と源を同じくしています。それが最終段階に近づいた所で赤い色素と褐色の色素にとに分かれるとされています。

 

😁以上が秋の紅葉の仕組みです。

 

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😁紅葉の現象は春から初夏にも見られます。ナンテン、カナメモチ、ヤマザクラなどの新葉がそうです。紅葉がひきを越す色素はアントシアン系のクリサンテミンで、なぜ春にも紅葉するかというと、若い葉の細胞では緑色のクロロフィルを作る仕組みは未だできておらず、茎のほうからは糖などの栄養分が盛んに送り込まれるため、比較的できやすい赤い色素が作られ葉は紅に染まることになります。

 

🙍だから、レッドロビンの新葉は赤いのですね。

 

😁また、この色素は波長の短い光をよく吸収するため、結果的に若葉が受けやすい紫外線の被害を(葉がやけること)を事前に防ぐ効果もあります。

 

まとめ

昔、購入した本を読み返すととても勉強になりました。『植木園芸ハンドブック/安田勲著』を引用文献とさせてもらいました。