樹木医師の肥料入れ方と肥料の種類
はじめに
何十年、何百年と生き続ける樹木。大きな根を張り生きていくために必要な水や養分
を吸収し時には風から身を守る。森では何千年、何万年と当たり前に続く自然界。樹木
にとって根は命ですね。いっぽうで庭の木はどうでしょう。自然界とは違う世界に植え
られて、植えてから何年も水やりだけ。肥料をやった事がない。そんな人がほとんどで
はないですか。花を咲かせてくれる木、実をつけてくれる木に肥料を入れてみません
か。来年は今年より多くの花、実をつけてくれることでしょう。
【使う道具】
使う道具はスコップ・肥料を入れるバケツ・バール(鉄の棒)などがあれば便利、今回は
キンカン(60㎝)の木に寒肥として油粕5ℓ、赤いバケツ(8ℓ)の約半分強を施します。
【 穴を掘ってみましょう】
スコップで穴を5か所掘り(放射状施肥) 穴に均等に肥料を入れて土をかぶせる。
植木屋の知恵袋
均等に数か所穴を掘り、翌年はその隣というように、1~3年かけて1週するようにしま
しょう。肥料をよく吸収する根は木の枝の外側です。張り出した枝の下ぐらいを目安に
掘りましょう。穴の深さは30~40㎝。
【理想的な掘方】
張り出した枝の下ぐらいを目安に溝掘りしましょう。穴の深さは30~40㎝。
植木屋の知恵袋
冬の1月~2月に寒肥として肥料をほどこします。春~夏の大事な養分となります。
有機湿肥料の油粕や鶏糞などほどこします。
【スコップでは穴が掘れない時】
バール(鉄の棒)などで穴をあけます、その際にトンカチでたったくと深い穴ができます。
植木屋の知恵袋
庭などで木の混みあった場所でスコップでは穴が掘れない時にするやり方です。
植えて何十年もたつ木、枝の外側がわからない、木が重なり合って掘れない、根が邪魔
して掘れない、そのような時は穴が開けられる所に上記のやり方で複数穴をあけましょ
う。もし根が少し傷ついても問題ないです、その傷ついた所から良い根を出して根は必
ず養分を吸います。
【植物に必要な三大要素・窒素・リン酸・カリ】
植物が元気に育つには16元素が必要です。酸素・炭素・水素は空気や地中の水分によっ
て得ることができますが、庭木にもっとも必要な三大元素・窒素・リン酸・カリ・は土
に肥料として補給しなければ不足がちになります。やせた土壌では庭木は美しく育たな
い。(残りの10元素は庭木にかぎっては特に重視することはないです)
『窒素』・・・・・葉肥・葉を元気にし光合成を活発にする
『リン酸』・・・・花肥・実肥・花付き、実成に効果がある
『カリ』・・・・・根肥・茎肥・根や茎を活発にする
【肥料の種類・特徴】
『有機質肥料』
油粕・牛糞・鶏糞・骨粉・草木灰・堆肥・などの自然肥料で緩効性と呼ばれ土壌の中で
ゆっくりと根から吸収される。
『無機質肥料』
窒素・リン酸・カリ・などを化学的に合成した肥料で速効性で施す時期を間違えたり量
が多かったりすると根を痛めることがある。化成肥料・複合肥料など使いやすいのが特
徴。また石灰も無機質肥料。
【施肥の種類】
『元肥』
植え付け時に施す肥料で緩効性である有機質肥料や有機質を含んだ無機質肥料を施しま
す。ゆっくりと根に吸収させる。
ポイント・初めの土作り
油粕・牛糞・鶏糞・堆肥・腐葉土などに少し化成肥料・複合肥料・石灰をよく混ぜる
『寒肥』
寒い1月~2月に施す肥料で春に芽を出し、夏にかけて葉を茂らす養分を緩効性である有
機質肥料を施しゆっくりと根に吸収させる。
ポイント・庭木に一番大切な肥料
油粕・鶏糞・堆肥などの有機質肥料が適しています。
『お礼肥』
花や実を付けた後に施す肥料で弱った樹勢を回復させ来年の為に養分を蓄えさせる肥料
で速効性の無機質肥料を少し多めに有機質肥料を加え施します。
ポイント・化成肥料と油粕を6:4:の割合で軽く施します。
『追肥』
寒さに備えて抵抗力をつけるのが目的の肥料で有機質肥料や無機質肥料を施します。
ポイント・草木灰などの有機質肥料とリン酸やカリを多く含む無機質肥料を施します。
まとめ
やせた土壌では庭木は美しく育ちません。花や実を付けてくれる樹木に肥料を施してみ
ませんか。必ず答えてくれますよ。